1950~2024年、田舎生まれの体験記など

ツワブキ採り

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「あっ! 出ている」

 3月になるころには、ツワブキの新芽が出てくる。日当たりの良い場所では、もっと早い時期に出てくるところもあったと思う。

 ツワブキの新芽採りは、主におばさん達がやっていた。男の大人がやっていた記憶はない。家の近くの山裾に行くとあちこちにあったので、僕もやっていた。新芽は、傘状の葉の部分が開いていなくて、白っぽい産毛に覆われ丸まっている。そして、茎の部分も産毛に覆われている。葉が大きく緑色でしかも茎に産毛が生えていないものは、新芽ではない。

新芽は、なるべく太いものが良い。茎の皮を剥ぐのが楽だし、食べる部分も大きいからだ。なるべく茎の下の方から折って採るようにしていた。ワラビ摘みとやり方はほとんど変わりないが、まずは、緑の大きな葉が茂っているツワブキを見つけ、その葉を掻き分けて新芽を探す必要がある。大きくて良いものを見つけるコツは、やはり大きな葉が茂っているツワブキを見つけることだ。

ツワブキの新芽
ツワブキの新芽

採ったツワブキは、母が茎の皮をまず剥いて——これが大変だが母親は包丁や指を使ってやっていたと思う。爪で剥くと指先が真っ黒になる——それを水に漬けた後、醤油や砂糖を使って煮ていたように思う。ワラビと違ってみそ汁にすることはなかった。

最近では、ツワブキは、僕の田舎では採る人が少なくなっているように思えるが、糸島市の海岸沿いでは季節になると採る人を多く見かける。産直市場では、皮を剥いたものを売っている。  私は、今でもツワブキは採っているが、皮を剥くのは面倒だといつも思う。ただし、採るだけなら直ぐにたくさん採れるので面白いし、食べると美味い。

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