1950~2024年、田舎生まれの体験記など

チヌ釣りとおりきしゃん

 また、おりきしゃんがチヌを釣っている。おりきしゃんの家はダブのそばに建っており、家の直ぐ横から魚釣りができるのであった。タブでは、ボラやハゼ、雨が降った時はウナギもよく釣れるが、格上の魚はチヌだった。ボラは美味しくないとされており、ハゼは小型が多くてたくさんは釣れなかった。ウナギが釣れる季節や天候は限られていたため、魚体が美しいチヌが格上だったと思う。

 釣具屋などがなかった当時は、餌は自前で調達する必要があった。チヌは、シマミミズでは釣れない。おりきしゃんが餌に何を使っていたかよく分からなかったが、ゴカイを使っていたかと思われる。タバコを加えながら釣りに集中しているおりきしゃんの姿をよく見ていた。

 僕もチヌ釣りに挑戦したことはあったが、餌の入手も難しかったので、小さい頃は上手くいった記憶がない。その点でおりきしゃんには一目置いていた。おりきしゃんは、タバコを加えながらチヌ釣りをしていたと思う。時々、チヌが針に掛からなかった時に「チェッ!」と声を発していたようにも思う。

 おりきしゃんは、母親と同年配か少し上くらいの女性だったが、魚釣りの他、貝掘りの時もよく見かけていた。母親の話では、パチンコに嵌っているとのことであったが、タバコを加えながらチヌ釣りをしている姿は、忘れられない。

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