1950~2024年、田舎生まれの体験記など

シマコブ獲りとけんか遊び

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 夏の終わり頃になると、僕の家の周りの壁、生垣などは、シマコブ(コガネクモ)の巣だらけとなり、ところどころには、白い袋状のタマゴも見られた。ヤマコブとも呼んでいたかも知れない。

 シマコブを一つの棒の両端に這わせ、棒の真ん中付近でけんかさせる遊びは、子供たちの間でよくやっていた。けんかに勝つためには、大きくて手足の長いクモを手に入れる必要があった。そのため、野イチゴが実る5月頃からか、競って山際の草地などの分け入りシマコブを見つけていた。見つけたシマコブは、枝の張った草などに絡みつかせて家まで運び、家の周りに這わせ飼っていたのだ。家の周りの這わせると、翌日には立派な巣を作っているのが分かった。その巣に捕まえてきたモンシロチョウやバッタを絡ませると、直ぐに近づいてきて尻から太く、真っ白な糸を出してグルグル巻きにする。グルグル巻きにしたのち、噛みついて餌の体液を吸っていたと思うが、グルグル巻きにしただけで巣の中心に戻ることもあったと思う。

 けんかさせていた時期はよくは覚えていないが、夏の初めころと思われる。なるべくまっすぐな棒の両端に、持ち主がそれぞれに自分のクモを這わせ、手などで棒の中心部分に押しやって対決させるのである。中央部分で互いに足を使って相手を絡みとろうとするが、絡みとる前に相手が棒から落ちることも多かったと思う。そこで、勝負ありである。やはり、勝ちたいのでなるべく大きいクモの持ち主になる必要があった。そして、大きくさせるために餌をやっていたのだ。

 ただし、餌をやり過ぎると腹の部分だけ大きくなって動きが鈍くなり、けんかは弱くなるのではと思っていた。

 このクモのけんか遊びは、鹿児島県では伝統行事として今も行われているようである。僕の田舎(長崎県松浦市福島町)では、今、この遊びをする子供はいなくなっていると思うが、田舎に帰った時や糸島市での野菜づくりの畑で、シマコブを見るたびに小さい頃を思い出す。

シマコブ(コガネグモ)の写真。糸島の畑で見つけた。
コガネグモ(2024年初夏、糸島の畑にいた)

 

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