僕の言う「野イチゴ」とは、「クサイチゴ」のことである。
麦が色づいた頃から赤くなり始め、麦刈りのシーズンの頃には、野イチゴ摘みのピークだった。麦わらで野イチゴ入れ用の手作りかごを作っていた思い出もある。
子供の頃は、現在のように西洋イチゴはそれほど普及していなく、珍しかった。庭に西洋イチゴを植えていた家もあったがビニールハウスは、僕の田舎ではなかった。
野イチゴはクサイチゴといったが、もう一つ「キイチゴ」があった。これは、実が黄色で粒粒が大きくきれいだったが、採れるところは限られていた。
たくさん採れるのはクサイチゴだった。
クサイチゴは、甘みが強く、味も良いので、今でも西洋イチゴよりこちらが美味しいと個人的には思う。ただし、粒が小さいので栽培されたり売りに出されたりすることは今でもないようだ。
クサイチゴは、毎年できるところは決まっているように思える。ただし、背丈は高くないので周囲の大きな草や木が茂るようになると、日光が入らなくなるかの理由で衰退していくように思える。
3月の終わりの頃、桜が咲くころに日当たりの良い場所の真っ白い花が咲き、目立つのでその頃、たくさん採れる場所として覚えておく。
子供の頃は、みんなどこに実が生るのかみんな知っていたと思う。ヤブを掻き分けながらイチゴを摘んでいた。
今でも、畑の傍のヤブなどや道路の斜面などで良くなっているのを見つける。食べると昔と変わらない美味しい味である。
偶に、クサイチゴをジャムにして市販しているものを食べたことがあるが美味しい。そのため、自分でも妻に作ってもらったことがあるが、少ししかできないが、西洋イチゴのジャムよりも野性味が感じられて美味しいと思う。