1950~2024年、田舎生まれの体験記など

ゴム銃(木製パチンコ)遊び

 ゴム銃は、小鳥などを獲るために使っていた。

 まずは、自分用のゴム銃を作ることから始める。山に入っていき、ドングリ(樫の木)の枝、丁度同じくらいの大きさの枝が二つに分かれている部分を、小刀(肥後守)を使って切り出す。そして、根本の方は持ち手用として使い、2本の枝の方にはゴムを付けるのだ。ゴムは母親からもらっていたように思い。ゴムを付けるために、枝先に切り目を入れてそこにゴムを挟み、挟んだ部分を取れないようにタコ糸で縛っていた。

 両側の枝に付けたゴムの先には、玉を挟むためのパーツを付ける。これには皮が最適だった。皮以外の厚い布などでは上手くいかなかったと思う。皮の入手は難しかったが、何とか手に入れていた。皮の両側に穴を開けて、ゴムをしっかり括りつける。そこまでくれば完成だ。

 玉は、ドングリの実などでも良かったが、ドングリの実は細長いので曲がるので正確に獲物を狙うには適していない。なるべくまん丸いものが良いのだ。それこそ、今であれば、パチンコの玉があるが、昔はそんな高級ものは子供の手には入らなかったし、子供には大きすぎると思う。

 誰に教えてもらったか定かではないが、海岸の砂岩でできた岩礁近くの砂礫がころがっている場所を探すと、まん丸い小粒の石がけっこうたくさん見つかった。見つけられる場所は決まっていた。おそらく、長年の波の浸食の影響で硬い部分が丸く削り出されていた影響だと思われる。いつもその場所でたくさん見つけていた。

 そして、その玉を使ってすずめ、メジロ、ヒヨドリなどを狙って打った。僕は、この小鳥落としは成功した記憶がない。たまに大きな目標であるヒヨドリなどに当たっても、撃ち落としが成功した記憶はない。野良猫などを狙って打って、親に怒られないように隠していたことはあったと思うが、猫もダメージはなかったと思う。

 ある日、隣の集落から友達が遊びに来た時のことである。

 「ちょっと見せて」

 僕は、友達のゴム銃を見て驚いた。二股の部分が、Y字状ではなくUの字状になっているのだ、Y状の枝を上手く曲げたり、削ったりしてもの凄く美しいUの字状に作っていた。さらに、その部分と持ち手の部分にもヤスリを掛けて表面がスベスベしているように作っていた。まるで芸術品だ。同じ年なのに、作り方の腕の差に驚いた。

 僕は、それからそれをマネして作るようにはしたが、決して美しいと言えそうなものは作れなかった。センスの違いがあるのだとその頃から分かるようになった。

ゴム銃と呼んでいあたが、木製パチンコが一般的な名称か?
手製のパチンコ

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