ダニエル・デフォー作の『ロビンソン・クルーソー』は、1719(享保4)年発表だそうでかなり古い。江戸時代の始まりが1603年なので、その約100年後の頃である。ちなみに、赤穂浪士討ち入りは1702(元禄15)年であり、これを考えてもかなり古い。
私は、子供の頃、抄録版か何かを読んだと思うが、一番印象に残っているのは、『失われらた世界』と同じく「1枚の挿絵」である。
無人島に辿り着き、孤独の生活を始めるが、その島には果物に溢れていたとのイメージの挿絵である。
私の記憶では、「オレンジ」が手の届く場所に山のように実っていたというものである。
無人島での様々な冒険よりも、「オレンジ」という果物にあこがれていた。
ーーーという印象が大きいが、今になって「新潮文庫、鈴木恵氏訳のロビンソン・クルーソー」を読み返してみた。
父親の助言を聞かず、船乗りなどの様々な冒険の末に、南米のオリノコ川河口付近の無人島に漂着するのだ。一緒に乗っていた他の船員は、全員死亡、ただし、乗っていた船が完全に壊れていなかったので、そこから食料、銃、火薬、斧などの道具類を苦労して運びだすのだ。
そして、崖近くに、伐採した木を使ってバリケードを築き、害獣や蛮人(人食い人種)の襲来に備えながら、都合28年間の生活を送る話だ。バリケードの話は興味深ったので、それをイメージできるネットで見つかった挿絵を1枚のみ紹介したい(実際は読んでいただきたいが)。
・・・・・ロビンソンクルーソー 挿絵 囲い – 検索 画像 (bing.com)
蛮人から救った「フライデー」を召使にしたのが、辿り着いてから24年目だったので、孤独の時代はかなり長い。ロビンソンは、理性のある男で、孤島での生き延びるための策を様々行う。
孤独と戦うために、宗教心にも目覚めるといったストーリになっている。
船に残されていた穀物から偶然に、その発芽を見つけ、麦や米を栽培する、島に居たヤギを飼いならし、チーズやバターも作る。実にたくましい。
蛮人との闘い、難破船のならず者を策を廻らせて降伏・殺害し、遂には帰郷し、成功を収めるまでが詳細に書いてある。
特に、様々な道具を使って生き延びるための工夫をするところなどは、現在でも役に立つと思えることがたくさんある。
崖に空洞を掘り、そこを倉庫とし、その前に二重のバリケードを作り、はしごで上り下りし、万が一、蛮人たちに見つからないようにするところなど見事だ。
それに、最初の蛮人と思われる足跡を見つけるシーンも印象的だ。
抄録版には書いていなかったと思われる様々な細かい様子が書いてあって興味深かった。古い、古い時代に書かれたものと思えなかった。日本語訳が工夫されているお陰かも知れない。
今、大人が読んでも参考になると思われる。