ボディーボードを始めた年(1995年、45歳)の秋口だったと思う。連れ合いの実家は糸島町桜井(現在の糸島市志摩桜井)に在ったので、大口海岸は、その実家より比較的近かった。
練習のため、大口海岸を訪れて驚いた。海水面は波立っていないのに、大きなウネリが入っていたのだ。
かなり強い風が吹いていたが、完ぺきなオフショア(風が陸から海の方角へ吹いている状況)だった。その頃、既にビデオでハワイの素晴らし条件での波もことは知ってはいたが、似たような波に初めて出会った日だった。
まだ、上手くはなっていなかったが、勇気を出して挑戦した。
そして、かなりのサイズのウネリにテイクオフができて、岸から50m程度離れた位置から、ボードに乗ったまま岸まで届いた。そして、それを何度も繰り返した。
さすがに、疲れて岸を上がり、待っていてくれた連れ合いのところまできた。私は、「乗れたのを見たやろ」と何度も言っていた。
帰りの車の中だった。自然と笑顔が出ていたのだ。自分で笑顔が出ているのに気付いた。ここ数年、私は笑顔を忘れていたと思った。連れ合いがそのことを指摘したかどうかは覚えていないが、自分に忘れていた「笑顔」が復活した体験だった。
この日より、一段とボディボードが最優先事項になった。