マムシに噛まれそうになったことがあった。
まだ、小学校に上がるかどうかの年頃であったと思う。
家の近くの山を登った海外沿いのヤブの中だった。野イチゴを探しにいったかどうか、何故そこに行ったかよく覚えていない。
T叔父が一緒だった。叔父は母の直ぐ下の弟でもう大人だった。
僕はヤブの中に入っていったそうだが、T叔父が注意していたのだ。僕はマムシを見ていないのだが、
「動くなと!」と叔父が言った。
そして、叔父は棒でマムシを叩き殺したそうだ。この経緯は、T叔父が母親に報告し、その話を母親に聞いたことで覚えている。その場所がどこであったかは今でも覚えている。
登下校の山道などでは、ヘビはよく見かけていた。大抵は、ヤマカガシ、シマヘビであった。偶にはアオダイショウを見たことがあったが、マムシは滅多に見なかったと思う。父親から頭が三角形なのがマムシであり、注意するように教えられていた。
友達の中には、ヤマカガシを足で踏んでしっぽをつまんで振り回して遊ぶ子がいた。僕もマネをしたことはあったが、感触は良いものではない。僕の小さい頃は、ヤマカガシには毒はないとされていた。ヤマカガシに噛まれて大ごとになったとは聞いたことがなかった。ただし、マムシは大人も恐れていた。
マムシは強壮に良いとされていた。叔父が殺したマムシを炭鉱住宅の方へ持って行くと、喜んでもらってくれたとのことであった。
皮を剥いで焼いて骨まで食べるとの話を聞いた。
マムシに噛まれそうになったことがあったので、ヤブや山に入る時は、いつも気を付けていた。噛まれた経験はない。