1950~2024年、田舎生まれの体験記など

船上での物々交換

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 僕は、T叔父の釣りに同行していた。

 その日は、風が強く時化模様であった。そのためか、少し早めに帰るようにしていたと思うが、叔父の船の船着き場に戻る途中だったと思う。

 急に、一艘の別の船とすれ違うようになった。昔だから無線も互いになかった。叔父が船を操作して両者は話が届くほどの距離まで近づいた。相手の船にはエンジンが付いていたと思う。

 何を話しているか僕には分からなかった。

 どうも漁の結果の情報交換のようだと思ったが、急に物々交換が始まった。こちらは、釣り針を提供したようだ。その代わりに相手はその船が獲った「生きたイワシの子」を沢山くれた。

 その後、両船は直ぐ離れた。

 叔父と僕、そしてもう一人の叔父が乗っていたと思うが、その3人で物々交換をして得たイワシの子を茶碗に入れ、醤油を掛けて食べた。

 ご馳走と言えば、この時の船上での醤油を掛けたイワシの子が一番と思う。

母の実家の前の海。手前に福島の先端が見え、その先の中央部分が鷹島。鷹島の湾は、元の船が沈没していることで有名。
母の実家の前の海(手前が福島、中央が鷹島)
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