大学時代の後半の頃(1973(昭和48)年頃)のに読んだと思う。学生向けアパートの窓から見える夕刻の空の景色を、主人公ムルソーが牢獄が見る景色の描写と重ね合わせて見ていたという記憶が残っている。
あらすじなどを紹介すると以下のとおりである。
アルジェリアの首都アルジェが舞台となっている。主人公・ムルソーが海岸で動機があるように思えない殺人を犯し、死刑になるといったストーリーである。哲学的な意味は理解できないものの、そこに描かれている海岸の情景や牢獄で感じた夜・大空・塩のにおいの描写、そして主人公が自分に忠実なところが特別に好きだった。
今、読み直してみても、どうして殺人まで犯したか未だ納得できない部分がある。しかし、ムルソーが自分に忠実な姿は印象的であり、私の学生時代の精神的な部分の見本だったように思っていた。
このホームページで紹介している『<モラトリアム>ヨーロッパ旅行記一九七五年』に記しているように、そのアルジェの海岸を一度は見てみたいと思って、実行した。
さらに、カミユのもう一つの代表作は『ペスト』――ペスト流行に立ち向かう医者・リウー他が奮闘する姿などを描いた小説は、今回のコロナ渦で類似の状況の一つとして再び注目された。これは、別途取り上げたい。