40歳代の頃か、勤め先で「報告書の書き方マニュアル的なもの」を作成しようとの動きがあった。上司、先輩に一家言がある方がたくさんおられたが、素案作成を担当するようになったと思う。
ーーーというような理由で、参考となるような資料、図書探しから始めた。
そこで、運良く見つかったのが、『今村遼平著:報告書の周辺ー望まれるコンサルタント像ー、日本測量協会』である。1994(平成6)年に出版されている。今の記憶では、もっと若い頃にこの本に出会っていたと思っていた。
タイトルは、『報告書の周辺』とあるが、中身は
[1]コンサルティング・エンジニアの条件
[2]報告書考
[3]コンサルティング・エンジニアのものの見方・考え方
から構成されており、報告書の書き方以外に、建設コンサルタントとしての成長のための哲学やヒントなど様々な示唆を得ることができた。
有用なことがたくさん書かれており、ここでは一端しか紹介できないが、世阿弥の『花伝書(風姿花伝)』を引用しながら、20代、30代、40代、50代以降と分けての仕事への向き合い方が書かれている。
ちなみに、50代以降の部分の『花伝書』の解説した箇所では、
つまり「五十をこしてからは、だいたい無用なことをしないということのほかには、適当なやり方はなかろう。駿足の良馬も、老いては荷馬車用の馬にも劣ると世間でいうが、全くそのとうりである。しかしながら、ほんとうに芸道を達得した役者ならば、老人向きの演目は少なくなってしまって、どんなに見せ場はへってしまっても、花はやっぱり残っているであろう」というわけです。
また、当時、印象に残っていたのが、著者が言われる「串刺し理論」または「ネックレス構想」として紹介されている「知識の体系化」「新ビジネスのヒント」「人生を豊かにする方法」である。この書き方では分かりにくいので、ぜひこの本を手に取って読んでいただきたい。特に、建設コンサルタントの方々へはお薦めである。
今読んでも、新鮮だと思うので、少々古い本ではあるが、中古本を探す価値があると思う。