ドラッガーは、あまりにも有名でたくさんの名著もあるが、会社で営業やマネジメントを意識せざるを得ない年齢になってから読んだ。たくさんの本の内、この『プロフェッショナルの条件』を紹介したい。
日本版は、2000(平成12)年に出版されている。
本の最後の方に、以下の言葉が記載されている。とても衝撃を受けたし、今でも名言だと思う。
ーーー私が13歳のとき、宗教のすばらしい先生がいた。教室を歩きながら、「何によって憶えられたいかね」と聞いた。誰も答えられなかった。先生は笑いながらこういった。「今答えられるとは思っていない。でも、50歳になっても答えられなければ、人生を無駄にしたことになるよ」・・・・・今日でも私は、この「何によって憶えられたいか」を自らに問い続けている。(「Part5 第3章 何によって憶えられたいか」より引用)
ブログで記事を書くためには、引用だけではなく、自分の感想を交えないと駄目だと思うが、当時、この本の名言と思う箇所を書き出し、手元においていた。
それをすべてここに記載すると長くなるし、引用の割合が増えて問題ありと思うので、当時の抜き書きした文章より、一部を以下に示したい。少し長くなることをご容赦願いたい。
なお、自己実現などに関するヒントーーーというよりも直接のアドバイスが書かれているので、この記事だけではなく、ぜひ手に取って読んでいただきたい。
ーーー1)「はじめに」より
①マネジメントの定義は一つしかありえない。それは、人をして何かを生み出させることである。今後、組織の競争力はこの一点にかかっている。
②今や唯一の意味のある競争力要因は、知識労働の生産性である。その知識労働の生産性を左右するのが知識労働者である。雇用主たる組織の盛衰を決めるものも、一人の知識労働者である。
ーーー2)「Part1 いま世界に何が起こっているか 第2章 新しい社会の主役は誰か」より
①組織は、人を引きつけ、引き止めなければならない。彼らを認め、報い、動機づけられなければならない。彼らに仕え、満足させなければならない。
ーーー3)「Part2 働くことの意味が変わった 第2章 なぜ成果があがらないか」より
①知識労働者を直接あるいは細かく監督することはできない。彼らには助力を与えることができるだけである。知識労働者は自らをマネジメントしなければならない。自らの仕事を業績や貢献に結びつけるべく、なるべく成果をあげるべく、自らをマネジメントしなければならない。
ーーー4)「Part2 第3章 貢献を重視する」より
①肩書きや地位がいかに高くとも、権限に焦点を合わせる者は、自らが単に誰かの部下であることを告白しているにすぎない。これに対し、いかに若い新入りであろうと、貢献に焦点を合わせ、結果に責任をもつ者は、もっとも厳格な意味においてトップマネジメントである。組織全体の業績に責任をもとうとしているからである。
ーーー5)「Part3 自らをマネジメントする 第1章 私の人生を変えた七つの経験」より
①まさにその完全とは何かを教えてくれる一つの物語を読んだ。ギリシャの彫刻家フェイディアスの話だった。彼はアテネのパンテオンの屋根に建つ彫刻群を完成させた。彫刻の完成後、フェイディアスの請求書の対し、アテネの会計官は、支払いを拒んだ。「彫像の背中は見えない。誰にも見えない部分まで彫って、請求してくるとは何ごとか」と言った。それに対し、フェイディアスは次のように答えた。「そんなことはない。神々が見ている」。・・・ここでも心を打たれた。
②・・・一つは、人は、何によって人に知られたいかを自問しなければならない。二つめは、その問いに対する答えは、歳をとるにつれて変わっていかなければならないということである。・・・三つめは、本当に知られるに値することは、人を素晴らしい人に変えることであるということである。
ーーー6)「Part3 第2章 自らの強みを知る」より
①何ごとかをなし遂げるのは、強みによってである。・・・自らについて知りうることのうち、この強みこそもっとも重要である。自らの強み、仕事の仕方、価値観が分かっていれば、機会、職場、仕事について、私がやりましょう、私のやり方をこうです、仕事はこういうものにすべきです、他の組織や人々との関係はこうなります、これこれの期間内にこれこれのことを仕上げます、と言えるようになる。
ーーー7)「Part3 第3章 時間を管理する」より
①あらゆるプロセスにおいて、成果の限界を規定するものは、もっとも欠乏した資源である。それが時間である。
ーーー8)「Part3 第4章 もっとも重要なことに集中せよ」より
①成果をあげるための秘訣を一つだけあげるならば、それは集中である。成果をあげる人は、もっとも重要なことから始め、しかも、一度に一つのことしかしない。
ーーー9)「Part4 意志決定のための基礎知識 第1章 意志決定の秘訣」より
①決定は、最初の段階から行動への取り組みをその中に組み込んでおかなければ、成果はあがらない。事実、決定の実行が具体的な手順として、誰か特定の人の仕事と責任になるまでは、いかなる決定も行われていないに等しい。それまでは、意図があるだけである。
ーーー10)「Part4 第4章 仕事としてのリーダーシップ」より
①リーダーたることの第一の要件は、リーダーシップを仕事として見ることである。
ーーー11)「Part4 第5章 人の強みを生かす」より
①成果をあげるためには、人の強みを生かさなければならない。弱みを気にしすぎてはならない。利用できるあらゆる強み、すなわち同僚の強み、上司の強み、自らの強みを総動員しなければならない。強みこそが機会である。強みを生かすことは組織に特有の機能である。
ーーー12)「Part5 自己実現への挑戦 第2章 “教育ある人間”が社会をつくる」より
①われわれは専門組織のそれぞれについて精通する必要はないが、それが「何についてもものか」「何をしようとするものか」「中心的な関心事は何か」「中心的な理論は何か」「どのような新しい洞察を与えてくれるか」「それについて知られていないことは何か」「問題や課題は何か」を知らなければならない。
ーーー13)「Part5 第3章 何によって憶えられたいか」より
①私が13歳のとき、宗教のすばらしい先生がいた。教室を歩きながら、「何によって憶えられたいかね」と聞いた。誰も答えられなかった。先生は笑いながらこういった。「今答えられるとは思っていない。でも、50歳になっても答えられなければ、人生を無駄にしたことになるよ」・・・・・今日でも私は、この「何によって憶えられたいか」を自らに問い続けている(冒頭紹介文と同じ)。
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