「暗黙知」「形式知」などは、今では広く知られているが、最初にこれらの言葉を聞いた時は、とても新鮮だったし、なるほどと思った。講習会で知ったのか、新聞で知ったのかは、思い出せない。
しかし、どなたからか、「野中郁次郎+竹内弘高(著)、梅本勝博(訳)の『知識創造企業』、東洋経済新報社」を教えてもらった(1996(平成8)年出版)。
オリジナルは、『The Knowledge Creating Companies: How Japanese Companies Create the dynamics Innovation』と題し、1995年にアメリカで出版されたとのことである。
日本企業の世界的躍進が際立ている時に、その秘密を分析した本として注目を浴びたと思われる。
野中らは、四つの知識変換モードを紹介している。すなわち、
①共同化(Socialization)・・・個人の暗黙知からグループの暗黙知を創造する
②表出化(Externalization)・・・暗黙知から形式知を創造する
③連結化(Combination)・・・個別の形式知から体系的な形式知を創造する
④内面化(Internalization)・・・形式知から暗黙知を創造する
これが、いわゆる「SECIモデル」である。
ドラッガーが「知識社会」の概念を提唱したことを受けて、書かれていると思われるが、今日の社会への発展、特に日本企業の発展の秘密を解き明かした本だと理解された。
現代では、各国のビジネスリーダーたちは、このことは当然のこととして、AIの進化などの競争に移っていると思われるが、「組織としての知識の共有化」を解き明かした本、また、個人としても「知識をスパイラルアップ」していく観点で、今でも読む価値がある本と思っている。
なお、野中氏は、ご存知の方も多いと思われるが『失敗の本質』など、ビジネス書に限らず、旧日本軍の戦史研究の本も書かれている。