1950~2024年、田舎生まれの体験記など

春編

ヒワ盗み

父は、小学校の事務職員であったため、僕の家族は町営住宅に住んでいた。母の実家は、半農半漁の家であり、その家に遊びに行けば、売り物以外は、たいていの果物などがもらえたが、小さい子供の足では歩いて行けないくらい離れていた。 […]

シマコブ獲りとけんか遊び

 夏の終わり頃になると、僕の家の周りの壁、生垣などは、シマコブ(コガネクモ)の巣だらけとなり、ところどころには、白い袋状のタマゴも見られた。ヤマコブとも呼んでいたかも知れない。  シマコブを一つの棒の両端に這わせ、棒の真 […]

野イチゴ摘み

 僕の言う「野イチゴ」とは、「クサイチゴ」のことである。  麦が色づいた頃から赤くなり始め、麦刈りのシーズンの頃には、野イチゴ摘みのピークだった。麦わらで野イチゴ入れ用の手作りかごを作っていた思い出もある。  子供の頃は […]

ため池でのフナ釣り

「あっ! ウキが少し動いた」  僕は、今日は家から少し離れた隣の集落にあるため池に来ていた。春も盛りに近づいてきており、海では、メバルも釣れる季節になっていたが、メバルは、餌にモエビなどが必要で難しかった。その点、ため池 […]

葦が生えていたクリークでのフナ釣り

 僕の田舎では、昔から遠浅の海岸を埋め立てて田んぼを広げていたと思われる。  この海岸近くの田んぼ域では、海岸の堤防に水門があり、その水門に一番近い部分は、汽水域の池や溝になっていた。ここには、塩分濃度が濃いせいか植物は […]

真珠貝・チュウチュウ貝・マガリ獲り

   春、大潮で潮が一番引いた時間帯、通常は、水面下に隠れていた磯の部分の様々なサイズの石コロが顔を出す。その石コロには、ノコギリモクなどの海藻がびっしり付いていたりした。  そんな石や岩礁に付いた海藻の隙間から、時々真 […]

シラガイ掘り

僕は、鍬の刃の裏の部分で、潮がかなり引いて現れた干潟部の表面を叩いていた。  今日は、滅多には獲れない「シラガイ」を狙っていた。僕らは、「シラガイ」と呼んでいたが、ネット上で見る限りではあるが、「カガミガイ」が正式名のよ […]

ハマグリ掘り

「ハマグリは浅いところにいるので、刃が三本の備中鍬などを使って砂地の表面を軽く傷がつくように掘り、カチッと音がしたらそこにいる」  父はいつもそのハマグリ掘りの要領を僕に教えていた。その方法を何度か試したが、僕の子供の頃 […]

アサリ掘り

長靴を通して感じられる水が冷たかった。鍬で川底の砂を掘ると、薄茶色に水が濁った。しかし、あっという間に水は澄んで、掘った跡の川底や掘った砂をこずんだ部分も見えてきた。 「あっ! おった」  しっかり口を閉ざし、貝殻の表面 […]

ツワブキ採り

「あっ! 出ている」  3月になるころには、ツワブキの新芽が出てくる。日当たりの良い場所では、もっと早い時期に出てくるところもあったと思う。  ツワブキの新芽採りは、主におばさん達がやっていた。男の大人がやっていた記憶は […]

ワラビ摘みと目撃事件

「おっと相当出ているぞ!」  僕は、家から少し離れた草地の丘のところに来ていた。友達とワラビ摘みだ。  野焼き跡のその場所は、ワラビが摘みやすかったのでそこに来ていた。春休みの後半の頃だったと思う。茎の部分を根本からポキ […]

マテ貝掘り

 穴に塩をマテ貝の貝殻の先を使っていれると反応があった。貝がいない穴であれば、穴の水は反応しない。穴から、「ぴゅっ」と勢いよく水が出てきた。とすると、直ぐマテ貝の水管の先——目のようにも見える部分——が穴から見えた。同時 […]

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