1950~2024年、田舎生まれの体験記など

夏編

ポプラの木のセミ

 僕らの家族が住んでいた家——私にとってはタブの傍の家から引っ越した2番目の家であった——は、町営住宅の一つであったが、周囲はポプラの木で囲まれていた。  ポプラは、北海道大学の並木道が有名であるが、何故か長崎県の僕の田 […]

タコ引きその2

 竹竿にタコ糸やテグスを付けて、その先にイイダコ用のテンヤ(錘と一体となった針、エサの替わりに真っ白な磁器を付けられていた)をぶら下げた仕掛けで、岩場や砂地に膝くらいまで入りながら、タコをおびき寄せる釣り方である。夏の終 […]

タコ引き

 辺りは明るくなってきた。もう少しで朝日が顔を出しそうだ。  僕は、タコ引き用のテンヤを砂地に走らせていた。砂地よりも岩礁部や石ころがある場所が、タコの住処が多いとは思うが、岩礁部に近い砂地でもタコが掛かることがある。そ […]

カニ突きその2

 小学校の高学年から中学生頃の夏休みは、カニ突きが恒例行事だった。大人は夜ぼりといって、カンテラを下げて夜の海岸沿いを歩いて、カニを網ですくうかモリで刺していたと思う。子供達は、昼間、海岸沿いを泳ぎながらカニを見つけてモ […]

カニ突き

「おっとびっくり!」  でかいのがハサミを大きく広げているのが見えた。 この場所は、ほとんど毎年カニが入っている場所だ。砂地に大きな岩が埋もれているような場所で、岩と砂地の隙間部分に大きな空洞ができていて、空洞の前の砂地 […]

エビ獲り

 家の近くにタブと呼んでいた汽水の大きな池があった。70m×70mくらいの広さはあったが、深さは、深いところでも1mはなかったと思う。  このタブでは、ハゼ、ウナギ、ボラ、チヌなどが釣れて、子供の遊び場にもなっていたが、 […]

ダンべ川でのウナギ釣り

 ここのところ大雨が続いていた。夕方、やっとその雨が止んできた。そして、今夜は大潮で夕方から潮が満ちてくることが分かっていた。僕は、小雨の中、暗くなる前にドバミミズを掘って、バケツに20、30匹ほど貯めていた。餌の準備と […]

ダンべ川でのハゼ釣り

 僕はさっきから川底の様子をずっと見続けていた。石積みの護岸沿いをゆっくり歩きながら、川底にいるハゼを探していた。  ドンコはいっぱいいるのが見えるが、ハゼはなかなか見つからない。時々、ボラの子の群やチヌの子も居た。チヌ […]

ダンべ川の魚たち

 家から数十m離れたところに、小さな川があった。ダンべ(団平船が通っていたことからが名前の由来か)川と呼んでいた。川と言っても感潮域の部分で、潮が満ちてくると、水深が1.5mほどになるが、引くと足首ほどの深さで流れができ […]

釣り竿づくり

   釣り竿づくりは、直ぐ近くに住んでいたO君のお父さんに教えてもらった。  竹は、真竹の形の良いものを山から切ってくる。どこの山に入れば切り出しやすいのかは決まっていた。そして、ウナギ釣り、タコ引きなどに使う場合は、枝 […]

ヤマモモ採り

 ヤマモモは当時の僕らにとっては、貴重な果物だった。  実は大きくはないが甘酸っぱくて美味しいし、たくさん採れるし、栽培されたものではなく山に自然に実っていた。  ご存知の方も多いと思うが、雌雄異株で実がなるヤマモモの木 […]

キスゴの立ち込み釣り

 さっきまで顔を照り付けていた日差しが無くなっていた。潮も満ちてきて海水面が胸近くまできていた。もう少しすると暗くなってくる。首から下げていた餌かご——と言ってもカラの缶詰カンに紐を通し胸から下げたものであるが——の中の […]

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